事態、悪くなるいっぽう。

 呼んじゃだめって、わかってたのに。
「……アーニャ、ちゃん」
 なまえを呼んじゃ、だめって、わかっていたのに。
 椅子の上にきちんと畳んで置いてあった、紫色のパーカー。それをみとめた瞬間頭の中耳鳴りにも似てわんわん鳴り響いていたその警告に、わたしは愚かにも従わなかったから。だから、のどがからからに渇いてしまうような絶望的な気持ちで、重く殴られたような気持ちになったんだろう。悪いのはわたしで、痛いのもわたし。それは悲鳴を上げる資格がない類の痛みだから、渇いたのどはしっかり潰れて、どこにも出てゆくことのできなかった悲鳴が、胸の中にずんずん積み重なってひどく苦しい。そこは今、ただでさえ、脈打つ心臓で圧迫されていっているというのに。
 打撃じみた脈動は、留まるところを知らずにどんどんはげしくなっていく。このまま胸を叩き続けられたら、肉も脂肪も突き破って内側から裂けてしまうこともあるだろうか。ぼうっとしていく頭にそんなことばかりが思い浮かぶ。今そうなってしまったら、きっとさぞかしいい勢いで赤いのが吹きだすんだろうな、なんて、まるでくだらない冗談みたいに破滅的なことを少しだけ考える。できればもう、そうなってしまえばよかったけど。
「アーニャちゃん」
 でもたぶん、破滅してしまえばいいなんて願うのがもうとうに遅すぎるくらい、今のわたしはきっと、もうこれ以上ないくらいには終わってる。
 それでも手から、力が抜けない。
 それでも、見慣れた色のパーカーを握りしめてしまった手から、身体に押し付けるように抱きしめてしまった腕から、わたしは力を抜くことができない。
「アーニャちゃん、」
 叩かれ過ぎてくらくらするくらいのばかでかい心臓の音すらどこかぼんやり遠くに聞きながら、生温かい靄がかかってしまったみたいな頭を抱え込むように目を閉じる。苦しいけれど、息がうまくできないことだけは救いだった。パーカーの布地で視界は紫一色に染まっていて、やわらかな生地に鼻先が包み込まれてしまう。こんな状態で、ちゃんと息なんて、できなくてよかった。できなくてよかったのだ。こういうときのわたしにとって、あの子の、どこかひんやりとしてゆるく甘い匂いは、きっと致死性だから。
 ぼうっとする。頭が。いつもこうだ。「こう」なるときは、いつもこう。でもこの状態についてもうひとつ言い添えるなら、わたしはわたしの中に、ここまできらいなわたしが隠れているだなんて、きっとこれまで思いもしなかったのだ。こんなものとはもちろん出会いたくなかった。だけど、たとえそうでも、どんなにだいきらいでも、出会えたことがただうれしくてうれしくてたまらないものもあるから、わたしはきっとこのわたしだって、未だ突き放せずにいるのだ。
「アーニャちゃ、……っ、」
 ごめんね、ちがうよ、あなたのせいじゃ、ないからね。
 それは間違いのないことなのに、ちゃんと教えてあげられないのは、この上ない悪だと思う。ひとにきちんと気遣いのできるあの子は、その分ちゃんと聡い。だから、ここのところわたしがずっとあの子に取り続けている態度にだって気づいているんだろう。というより、気づいているってことに、わたしだっていい加減気づいてる。昨日も一昨日もその前も、もしかしたら今朝がた会ったときだって、アーニャちゃんはわたしの背中でなにか言いたそうにしてた。
 わたしもね、振り向かなくてもわかるようになったんだ、それくらいなら。だってずっと一緒にいたもの、まだ言葉に自信がなくてちょっとだけひとに声を掛けるのにためらっちゃう、だけどほんとは伝えたいことをちゃんとたくさん持ってるあなたの隣に、わたし、ずっと、いたもの。だから今朝だってわかったんだ。アーニャちゃん、あなたは、わたしの肩に後ろから触れようとして、何度も何度もやめてたね。莉嘉ちゃんやみくちゃんみたいにばしん! なんて強く叩くんじゃもちろんなくて、かな子ちゃんや智絵里ちゃんみたいにとんとん、と優しく叩くわけでもない、ただふんわり、羽みたいに指先をのせてくるのは、アーニャちゃんだけの叩き方。
 わたしの肩はちゃんとその感触を覚えている。から今朝だってあなたがその綺麗なブルー・アイをわずかに曇らせてわたしの後ろにじっと立ったときだって、わたしの肩は、触れられる準備がすんでいた。なあにアーニャちゃん、って振り返る準備だって、きっとできてしまっていたのだ。
 あなたはきっともうそれをしないってわかっていたのに。
「っふ、……アーニャちゃん、……アーニャ、ちゃん」
 あなたにもうそれができないようなことを今までしてきたって、わたし、わかってたのに。
 右手がそれどころじゃないから、このちっとも言うことを聞かないで名前を呼び続ける口を塞げるとしたら左手なのだけれど、そっちはそっちで往生際悪くパーカーを握りしめたままだから、結局わたしはどんどん俯いて丸く小さくなったみじめな格好になるほか、この厭らしい声を抑え込む方法がない。こうなってしまったわたしの身体で、わたしの思い通りに動いてくれるところなんてひとつとして残っていやしないのだ。まさぐる右手も握りしめる左手もどんどん声が漏れる口も、ときどきどうしようもなくびくっとふるえる背筋だって。止まってくれない。やめてくれない。
 あなたのことを、どうしようもなく考えてしまう、心だって。
 止まってくれない、やめてくれない、なにひとつ、言うことを聞いてくれない。
「は、……っぁ、にゃ、ちゃん……っごめ、……ごめん、ね」
 ごめんね、ごめんね、アーニャちゃん。
 わたしがあなたの目を見られなくなってしまったのは、あなたのせいじゃないの。
 わたしがあなたときちんとお話しできなくなってしまったのは、あなたのせいじゃないの。
 わたしがあなたのそばにいられなくなってしまったのは、ほんとうに、なにひとつ、あなたのせいなんかじゃない。
 わたしの右手が止まらないのも、左手から力が抜けないのも、どんなにのどが渇いてもあなたの名前を呼ぶのが止まらないのも、潰れて中身が吹き出そうなくらい心臓がうるさくてうるさくてたまらないのも。ぜんぶぜんぶ、あなたが悪いわけじゃ、ないんだよ、アーニャちゃん。
 だからそんなに悲しそうな顔をしないで、なんていつもみたいにお姉さんぶった言葉をかけて、抱きしめてあげられなくてごめんね。またお話たくさん聞かせてって笑いかけてあげられなくてごめんね、アーニャちゃんって呼んであげられなくてごめんね、カフェに行こうとか、一緒にレッスンしようとか、いつもはわたしから促して、ときどきあなたのほうから懸命に誘ってくれるようになったこと、全部いきなりやめてしまって、ほんとうにごめんね。いちばんいちばんそれをしてあげたいけど、いちばんいちばんそれをしちゃいけないわたしで、ごめんね。そんなわたしに、あなたの知らないあいだにそんなだいきらいなわたしになってしまって、ごめんね。「く、ふッ……ん、ぁ、アーニャちゃ、っ…!」
 パーカーとか上着とか勝手に捲れあがっていった下着とか、手の中で布がくしゃくしゃになっていくたびに、わたしのどこかもきっと同じくらい、くしゃくしゃに握りつぶされていく。たぶんきっと、とてもいびつに、みっともなくしわが寄っていく。ちかい、かもしれない。ちかちかとなにかひどくまばゆいものが明滅しはじめた頭の中で、そんな二言だけがゆるく巡っていく。ちかい、のだろう。腕にぎゅっと力が入る。入れようとしたのかどうかは、もうよく覚えてない。
 たいていの場合その瞬間を待ち望むものなのだろうし、実際わたしの指先だとかはそれを求めるかたちで動いていたのだろうけど、わたしはこの瞬間がきらいだった。きらいで、それからたぶん、こわかった。糸の切れたみたいに浮遊する感覚も、力が抜けなくなる身体も。そのあとぐったり水を吸ったように重たくなる身体へ、一気に押し寄せてくる罪悪感と後悔も。「あーにゃ、ちゃ、……ッッ!!」

「美波」

 これ、おと、あるんだ。
 ざ、と全身から一気に血の気が引いたそのときわたしが考えられたのは、間抜けにも、たったそれだけで。いや、実際頭から背筋までいっぺんに冷え切った血が落ちていく音を聞いた気はしたから素直な感想といえばそうなのかもしれなかったけど、それにしたって、もっとなにかあったのではないかと、心から後悔しているのだ。

 部屋の入り口に立っていたアーニャちゃんはしばらくわたしをじっと見つめていたようだったけれど、やがてなにか思いつめたような顔をして、中へと足を踏み入れてきてしまった。「美波」
 透明に近く見えるほど澄んだ瞳の青が、いっそまばゆいくらい。だけどくらくらしているわけでもないから、わたしは慌てて服の前だけなんとか合わせて、彼女に背を向ける。
「や、きっ、来ちゃだめ、アーニャちゃん」
「……ニ ハチュー」
 咄嗟の時に飛び出るのは彼女の母国語であっても、すぐわたしたちにもわかるよう言い直してくれたのに、どうやら今の彼女にはその気がないらしい。
 それでも少しずつわかってあげられたらなんて思って、世界で二番目くらいに習得の難しい言語だなんて言われているのに若干気が遠くなりながらも進めてきた勉強だけれど、このふやけた頭ではちっとも役に立ちそうになかった。ああ、読んだ気がするしノートにラインマーク付きでメモした気もするのに思い出せない。それ、その意味、なんだったかしら。せめて振り向いて仕草の一つでも見られていたらまだよかったのかもしれないけど、ただ縮こまるばかりだったわたしに、それはかなり無茶なことだった。
 身体がふあんと上下に揺さぶられる。それはたった今わたしが縮こまっているところのソファが軋んだからで、振り向けないけど、確かめられないけど、起こり得る最も大きな可能性をたどれば理由はひとつしか見つからない。アーニャちゃんが、傍まで来たからだ。わたしのすぐ傍で、同じソファに、腰掛けてしまったから。
 そしてもう一度、今度はとても大きく、わたしの身体が揺れたのは。
「ヤ スクチャーユ、美波」
 わたしが逃げないよう、むりにでも飛びつくみたいに、抱きしめられてしまったからだ。
 みなみ。銀色のやわらかな髪を押し付けて、アーニャちゃんがわたしの首もとあたりに額を潜り込ませてくる。さっきまでくしゃくしゃだったのはわたしだったけど、どうしてだろう、今くしゃくしゃになっているのは、なぜだかこの子のほうだ。薄い肉しかついてない細腕はそれでもびっくりするほど強くわたしの身体をとらえていて、背中の方で服がぎゅっと握りしめられているのがなんとなくわかる。ええと、でも、いやちょっとアーニャちゃん、あんまりそうやって抱きついて、きちゃうと。
「わ、あ、アーニャちゃ、……っ、と!」あ、倒れて、しまった。存外柔らかいソファは難なくわたしの身体を受け止めてしまったけれど、ぽかんとそんなことを考えている場合でもなかった気がする。この期に及んでそんなことを考えてしまう自分にほとほと嫌気がさすけれど、それでも――なんだかだんだん、まずい体勢になってきてしまっているのは、事実だ。
 もともと部屋がほの暗かったのと、俯いて髪がぱらぱら流れ落ちてしまっているのとで、アーニャちゃんの顔はなんだかよく見えない。ちょっと前髪が長いかな、今度スタイリストさんに相談してみたほうがいいかもなんて状態からすればかなり不似合いな世話焼き思考が頭にぷかぷか。それはわたしの持ってるほとほと治らない癖のようなものらしく、美波はそんなだから、とこのあいだ川島さんだったかそれとも大学の友だちだったかにも言われた気がするけれど、そんなだから、の続きは、揃ってみんな教えてくれない。
 ただ、なんだろう、目に入らないかなと思って、この場においてもそんなことが心配になって、真っ白な頬にかかる髪を払ってあげようと手を伸ばしたとき。
「どうすれば、いいですか?」
「……えっ?」
 がし、とその手を握られてしまったそのとき、わたしはなんとなく、みんなが言いたかったことがわかった、ような気がしたのだった。
 真っ直ぐな瞳に射抜かれて、思わず何も返せなくなる。ん、とのどの奥で噛みしめるような言葉を発したのは、だから、わたしじゃなくてアーニャちゃんのほう。どういえばうまく伝わるのか言葉を探しているとき、この子がよくやるくせのひとつ。
 さっきまでわたしの知らない言葉でしか話してくれなかったこの子は、だけど今、わたしと話をすることを望んでいる。その気持ちがとても強いことは、わたしの好きな――きっといちばんに好きになってしまった瞳が、しっかりと教えてくれる。ああ。
 ああ。
 アーニャちゃん、ねえアーニャちゃん、おねがいだから。
 そんな、きれいな目で、わたしを、みないで。
「美波。さっきの、教えて? あー……やりかた。方法、教えてください」
「さっきのって……っ、え!?」
 だから、そう、つまり、わたしは。
 いちばんには瞳、にばんめにはたしか声、さんばんめはもう、覚えてない。月の色ともちょっと似ている、撫ぜると指先をくしゃくしゃ包んでくれる髪も、くすぐったそうに笑うときの顔も、一生懸命話しかけてくれるたどたどしい言葉も、ときどきしてくれる遠慮がちな触れ方も、それから、美波って呼んでくれるときの、やわらかい声も。気が付いたらきっと全部、好きになっていて。
 アーニャちゃんのことが、信じられないくらい、だいきらいなわたしと出会うくらい、大好きになっていて。
「な、ぁっ、アーニャちゃん、なに、何言ってるのっ」
「でも美波、呼んでましたね?」
「え……」
「私。呼んでましたね?」
 あのタイミングで声をかけられてまさか聞かれていないだなんて幸福な勘違いはしていなかったけど、それとこうして面と向かって(いや正確には上から見下ろされているのだけれど)伝えられることを覚悟できていたかどうかという話は、まったく別だ。というかできていませんでした、そんな覚悟なんて。死にそうです。新田美波、ちょっと死にたいです。
 せめてアーニャちゃんも黙ってきらいになってくれたらいいのにとか、我ながらずいぶん自分勝手な不満を抱えたりなどしながらも、わたしは力なく頷くことしかできなかった。けれどアーニャちゃんはどういうわけか、そんなわたしの手を、まだぎゅっと握ったままでいて。――あ、というか待って、自分で伸ばしておいてなんだけれどその右手ってあのなんというかわたしまだ拭いてな、
「したいこと、します」
 ぺたりと、わたしの手に、アーニャちゃんが頬を寄せる。
 そのときになって初めて、彼女の頬がひどく熱くなっていたことに、気づかされる。
「美波のしたいこと、します。だから、教えて」
「……アーニャちゃん」
「いかないで」
 ヤ スクチャーユ。
 震えた声で、アーニャちゃんがもう一度口にする。
 ふやけた頭の隙間かなにかに落っこちて、どうにか助かっていたらしい知識が、ふっとその意味をわたしに教えてくれた。Я скучаю。――『さびしい』、だ。
「いかないで、美波。私、美波と、いたいです」
「……アーニャちゃん」
 ああもうこの子にこんな顔させて、わたし、いったいどうして償えばいいのかな。そう思うと本当に胸が潰れてしまいそうだったけれど、別にもうそれでもいいから、アーニャちゃんの身体が落っこちてきて、そうしてわたしが潰れてしまってもかまいやしないからと思って、わたしはとうとう上に乗っかっていた彼女の身体を抱きしめた。
 この手はまだ、あなたのやせた身体のことを覚えている。だけど覚えているものよりそれはずっといとおしかったから、わたしの胸は、やっぱりぎゅうっとしてしまうのだ。
「アーニャちゃん、ちがうの。ちがうんだよ、ごめんね」
「美波……?」
「アーニャちゃんは、悪くないの。そんな顔しないで。わたしが、全部悪いんだから」
「ん、……ん……?」
「ごめんね。えっと、なんていうか……とにかくさっきのは、忘れていいから。あれはその、なんていうか、わたし一人の問題で……だからね、アーニャちゃんが無理して覚えなくちゃいけないようなことじゃ」
 ところで、この細腕のどこにそんなものを隠しておく猶予があるのかははなはだ疑問なのだけれど、アーニャちゃん、意外と力はちゃんとあるらしい。
 なんてことをわたしがぽけっと考えていたのは、要するに、そこそこ強く抱きしめていたはずの彼女ががばっと顔を上げて、さっきよりずっとずっと近い、それこそ鼻先でもぶつかりそうなところで、ぱち、と大きくまばたきをしてしまったからだ。
 言葉が途中だったのに、続きなんてあっという間に飲み込んでしまう。それはそうだ。しっかり見つめられただけでもうだめだったのに、こんな、こんな近くで、映ってるわたしの顔も見えそうなくらい近くでその瞳を見てしまったら。だめにならない、わけがない。
「伝わりませんでした?」
「……え、……っと?」
「あー……イズヴィニーチェ。もう一度、言います。もっと……ちゃんと、言います」
 ぱち、ぱち、と。
 わたしのいちばん好きな色が、いちばん近くにある星が、瞬く。
「美波、クラサヴィーツァ……ん……ミールィ? んん……あ、すき、でした」
「へっ、あ、えっ!?」
「さっきの美波、すごくすき、でした」
 すり、と頬を寄せてもなお、アーニャちゃんはわたしの手を放さない。右手首のあたりに、ふんわりやわらかくて、ちょっぴり湿った感触が、ぎこちなくちゅっと落とされる。
 くすぐったく目を細めて、あどけなくはにかむように、彼女が笑う。
「だから、教えて。私もします、美波」
 透き通った瞳のまま、あどけなくはにかむように笑って。
 そんな、凶悪なことを、言う。

 そのあとのことについてなんてわたしにはとてもとても語れないけれど、どうにかお話しできることがあるとすれば、ひとつだけ。
 わたしの上にすとんと乗っかってもなお健気で、ずるいくらい疑いようのない笑顔で美波が嬉しいをします、と微笑みかけてくれた彼女が不安そうに訊ねたことが、ひとつある。
「……美波」
「な、っ、な、なに、かな、アーニャちゃん?」
「何を言うと、いいですか?」
「ぅ、あ、えっ?」
「こういうときは、何を言うといいですか、美波?」
 どうすれば伝わりますか、と。
 言葉に自信のない彼女は、まるで今まで通り素直にわたしを頼って、聞くので。
「……っ、す」
「す?」
「すき、って、言って」
「すき」
「っ、……あ、あと、……あの、な、名前」
「みなみ?」
「うん……名前、呼んでくれたら、それでいいから」
「ダー!」
 ああ。
 ああ、もう。ほんとうに。

「美波、すき。すき、すきです、美波」

 事態、幸せすぎて、悪くなるいっぽう、です。

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